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執筆者の写真すずめや

おちついた

なかなかひどい風邪であった。

快方にむかうまでずいぶん時間がかかったように思う。

そう思うが、このうちの時間はとてもゆっくり流れているのでそれですごく長く感じただけなのかもしれない。

ずいぶんよくなったな、さあ行こう、とぬげたを散歩に連れ出したところ妙に張り切ったぬげたのダッシュに付き合わされるはめになり、咳が止まらなくなって散歩道なかばで家にひっぱって帰ったりもした。

出張から帰ってきてすぐ倒れたので、夫がまた家事のすべてをしなきゃいけなくて可哀想だった。

用意してくれていたクリスマスのご馳走を食べられるようになるまで待たせてしまったのも申し訳なかった。


ふたりで仕事を手分けして暮らすのがいちばんいいな、と回復した今本当に思う。

夫が除雪機をうんうん言わせるわきでわたしは車の雪を払いこまかな雪かきをし、わたしが仕事に没頭しているまに夫がごはんを用意してくれ、タイミングをみながら洗濯物をまわしたり、犬猫のごはんの世話をしたり、そういうのがいちばんいい。


ところで飼い主がぶっ倒れていると犬や猫が心配そうに寄り添って眠るなんて話を耳にするがうちの子たちは全員そういうことはしないみたいだ。

合わせて5匹もいるというのに全員やらない。

わたしはゲーする猫がいれば近寄って声をかけてやり、せなかをさすり、ぬげたのくしゃみに大丈夫かと声をかけ、なにかしが心配という概念を彼らに投げつけているつもりだがもしかしたら彼らにはそれは伝わっていないのかもしれない。

心配が伝わっていてもいなくても愛情は変わらないが、体調を崩すたびにすこしの期待を持つことをやめられない。砕かれる希望であるとわかっていても。

もしかしたらふわふわの誰かが、苦しそうなわたしのそばで心配そうに鳴いたりしないかと、しょんぼりと添い寝をしてくれないかと、いつも思ってしまう。



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久しぶりの高熱

本格的に熱を出した。出している。 口のなかがふつふつ熱い。 舌やほおの内側が膨らんでいるような気がする。 針先ですこし突いたら破裂して、沸騰した血液が舌先から迸って溺れてしまうに違いない。 想像の血液を滴らせながら夢と真を行き来している。

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