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執筆者の写真すずめや

お正月から

元旦の朝から名古屋へ出発。

ちょうどいい時間の飛行機がなかったために元旦の名古屋で搬入まで、ホテルのチェックイン時間まで、三時間半の空白時間。

お正月はみんなお休みすることにしたらしく、ラーメン屋さんとコンビニしか開いてない。

とりあえずラーメン屋さんでお昼を済ませ、荷物だけはホテルに預け、放浪開始。

とりあえず街のど真ん中にある大きな公園にむかう。

大きな平たいベンチに腰掛け、本を開いてみるものの、やっぱり太陽の光では本はとても読みづらい。

座ってスマホをいじるというのもあまりに無情緒すぎるとそのままベンチで寝転がってみる。

目を瞑り、瞼の向こうから透ける太陽の光をじんわり感じていると頭の上の方からくすくすとご婦人の笑う声がした。

あらあらひなたぼっこして眠っちゃってる。

大変気恥ずかしくなり、ご婦人の気配がなくなるまで我慢してから目を開け体を起こして歩き始めることにした。


歩き始めたところで何も暇を潰すものはない。

向かう場所もなければ土地勘があるわけでもない。

あまり遠くまで歩きすぎてこれからの搬入前にくたびれるのもつまらないことだ。

ドンキホーテが開いていたので入ってみる。

普段使いしているがAmazonでは2個セットでしか売っていない歯磨きジェルが単体で売っているのをみかけて買う。

それ以外に買いたいものも見ていたいコーナーもみつからず、たいした時間を潰せず外に出た。

変な店の看板の写真を撮って夫に送りつけ、なにもすることのないまま彷徨い続けた。

最終的には道路のわきにあった、腰掛けるにちょうどいい高さの花壇に座り込み、正月のご馳走を貪るカラスたちの動向をじっと観察し、コートにへばりついている猫の毛を携帯用のコロコロで取り除くという虚無時間を過ごした。


元旦からわざわざ飛行機に乗って働きに出ているというのにあの時間はなんだったんだろう。

なんとものんびりしたなにもない時間を無為に過ごした。

ああいう時間を過ごしたことは人生においてあまりなかった。

いつだってなにかしらのやるべきことを抱えている。

元旦早々そんなんで、もしかして今年は仕事がなくって暇をもてあますぞなんて示唆でないのか、と少し考えて身震いの思い。


仕事がスタートしてからもそんなに目の回るような忙しさもなく、楽しみにしていた店は軒並み6日からの営業だったり、開いていてもお正月の混雑で入れなかったり、宿の周りでは朝から酔い潰れた黒服の男性がぶったおれていたりして、肩透かしにのんびりしている。

今日も、昨日満席で入れなかった大好きなベトナム料理店にリベンジのつもりで向かったら貸切営業でまた入れなかった。

がっかりして宿のそばの気に入りの中華料理店にむかうと定休日であった。

またも放浪。

こんどは日曜日ということで、宿の周りは繁華街だけれども閉まっているお店の方が多い夜だった。

ふだんならまず選ばないタイプの、やたらと照明の明るい居酒屋さんが手頃そうにオープンしていたのをみかけて入店し、閉まっていた中華料理店を名残惜しく思い餃子を注文し、メンマをつまみに本を読みながら酒を飲んだ。

持ってきた本がこれまた、なんとなくタイトル知ってる、くらいで買った普段読まないタイプの骨太の文章の本で、ものすごく読ませる文章なんだけれどもここでも日常の破壊が起きているみたいでほんとうに変な日々だ。


ある意味で新しい日々なのかもしれない。

なにも思った通りにいかないし流れてもいかない。

今年はなんか、違う年になるのかもしれない。



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