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執筆者の写真すずめや

ぬげた家族へ

保護犬ぬげたのトライアルが終了し、ぬげたは正式に我が家の犬となった。

夫の働く施設から引き取ったので、色々な説明の書類や申請書があった。

そういうところにいままで実際には縁のない人生だったので、書類の文言ひとつとってもかなり興味深い。

とにかくどうぶつの幸せに特化し練られた文章、規約の類いなど、厳しい言葉もみられたけれど、この文言ができるまでにたくさんの動物たちのことを真摯に見つめてきた目があるのだなと思った。

そういやわたしの小さいころはそのへんに野良犬がいたような気がするけどもう全く見ないし、室内飼いに対する感覚もだいぶアップデートされている。

地域猫ということばもできた。

小さいころはそのへんに野良猫用の餌やり場があったし、野良の動物の去勢なんてだれも気にしてなかったと思う。

でも誰かがずっと気にして見つめて行動していたからここ20年ほどでこんなに意識が変わったんだろう。

先人たちの積み重ねには本当に敬意を払わなくちゃならない。


ぬげたはでかくて年寄りの新人である。

どうも昔は猟犬だったんじゃないのかという見解。

人を怖がらないし車やバイクも好きみたい。

卑屈なところはなく、おおらかに間のぬけた顔でこちらを見る。

犬といえばいつでも見つめ合うものかと思っていたけど別にそばに寝転んでもぜんぜんこっちを見ずにいることも多い。


猫たちとはまだ仲良くなれない。

次男猫のミリは基本的にびびりであり、ぬげたの部屋とした台所にももともとあんまり入らないので生活圏が自然に分かれている感じ。

ところが三男坊のメリは物おじしない性格なので、ぬげたが見てても真っ向からメンチを切るしまつ。

台所にいるぬげたは食事中はケージにはいっているのだけど、その隙をみはからってメリは台所にやってきて大好きなかめきちとドジョーズの水槽を冷やかしにくる。

水槽の前にいるメリはケージのなかのぬげたの視野にはいるのだが、うまく気配を消すとぬげたは気づかない。

犬って鼻が効くと聞いたしもっと過敏だとおもっていたけどぬげたはぼけっとしているときは永遠にぼけっとしているみたい。

メリはおしゃべりなのでニャーと鳴く、鳴くのを聞いて、あれ!猫さんがいますか!みたいなかんじで気づいて吠える。

吠えると夫が静かにしい!と関西のおばちゃん口調で叱る。

まだ犬のことは詳しくないので、ぬげたがメリを狩りたくて吠えるのかナワバリを侵されて吠えるのか仲良くしてよ!の吠えなのかわからない。

仲良くしてよの吠えだといいなあと思う。

ぬげたは黒くてたまに白、メリも黒くてたまに白のおなじような毛色なのやし仲良くなったら可愛い。

メリはぬげたが吠えても全く耳を伏せるようなことはしない。

距離はしっかりとっているがぴんとひげを立ててお耳を立てて真っ向からメンチを切っている。

もっとちっちゃなころからメリの眼力はすごかった。

いっときはこのメリの目が恐ろしいと感じていたほどだ。

ぬげたが家に慣れて家族に順位をつけはじめたとして、メリが一位になってもおかしくはないよなという眼力。

犬が家に慣れるのは一年くらいかかるみたい。

気長に仲良くやっていこう。


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