ここ一週間くらいは、早起きしてあせることもなくなった。
日が出るまでゆっくり眠っている。
いろいろ逆算してあわせてこなさなきゃいけない作業もない。
薪を運び入れるのも、雪かきをするのも、些細な家事のひとつひとつたちが、こなさなきゃいけないなにか、ではなくてゆったりとした日常の流れの一部というかんじだ。
相変わらず夫は素晴らしいご飯を作ってくれ、夫の仕事の時には夫の帰るに合わせてわたしもご飯を作る。
些細な家事に、時間をゆったりかけられることで、自分がこんなに豊かな気持ちになるということを忘れていた。
薪ストーブであったかくした部屋に、計量を済ませたバターや卵を置いておき、室温に戻してなめらかにかき混ぜて砂糖や小麦粉をふるいいれ、オーブンがいい匂いをさせるのを待つ。
そのすべての時間において、すませねばならないことを抱えていない。
焼き上がった菓子を網に乗せて冷ましている時の甘やかな香り。
作ってもらった美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、酔っ払って、ぐうぐう眠り、朝方にちょっと起きて冷たくて美味しい水をぐっと飲んで、猫たちの様子をみたり、台所の薪ストーブに薪を足したり、犬をひとなでして、暖かい布団にもういちどくるまり、ゆっくり眠る。
起きたら4匹の猫におねだりされてごはんをやり、火を起こし、湯を沸かして珈琲豆を挽く。
今日はあれをしなきゃ、と追われることもなく。
こんな幸せな日々があって良いだろうか。
岩手に来てからずっと幸せだよなと思っているけど。
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